読者をイライラさせる夫のモラハラっぷりが話題となり、SNSでも度々注目を集めている漫画『夫の扶養からぬけだしたい』。夫婦をめぐる問題がリアルに描かれていて、思わず感情移入しながら読んでしまう作品です。
この記事では「ふよぬけ」こと『夫の扶養からぬけだしたい』のストーリーをネタバレ込みで解説。さらに無料で読める電子書籍サービスや漫画アプリについても調査し、おすすめのサービスを紹介していきます!
『夫の扶養からぬけだしたい』のあらすじ
専業主婦のももこは、夫のつとむのモラハラに日々悩まされていました。彼も彼で仕事が大変ではあるのですが、そのストレスをただ妻にぶつける姿は理不尽そのものです。
息子のたるともまだ小さく、家事も育児も大変なのに、つとむはももこの気持ちをまったく理解しようとしてくれません。それどころか、少しでもできていないことがあると責め、自分は手伝わないのに文句ばかり……。
やがてももこは、自分も働いて自立することを夢見るようになります。
第1章ネタバレ感想
専業主婦のももこは、激務に追われるサラリーマン・つとむと2歳の息子・たるとと3人で暮らしています。彼女はかつて漫画家になることを目指していましたが、出産を機に夢をあきらめて家庭に入りました。
慣れない家事や育児に追われ、毎日大忙しのももこ。しかしつとむは少しでも落ち度があるとももこを責め、自分は何も手伝わないのに偉そうなことばかり言います。時代錯誤も良いところという感じの言葉の数々には、読んでいるだけでイラついて仕方ありません。
当然、ひどい言葉を毎日浴びているももこは、だんだん夫のことが嫌いになっていきます……。
第2章ネタバレ感想
視点が変わってつとむの事情が描かれます。彼はブラックぎみの会社で働いており、上司の理不尽さに耐えながら精一杯働いていました。彼が毎日感じているストレスは半端ではありません。
つとむにも一応言い分はあるわけで、外で必死に働いているとずっと家にいる妻の大変さがわからないというのもあるでしょう。それにしても、ストレス発散のようにももこに当たるのはちょっと違うと感じます。
一方、ももこは夫と別居するため自立したいと考え始めました。しかし自分ひとりでは部屋さえ借りられず、すっかり困り果ててしまいます。
第3章ネタバレ感想
ももこは亭主関白で女性を見下す父親のもとで育ったという過去を持ちます。一方、つとむは父親の営む洋食店を手伝いながら、家事も育児もこなす母親の姿を見て大きくなりました。
だからこそももこはつとむに大嫌いだった父親の姿を重ね、彼のことを憎むように。つとむはももこと母親を比べ、何もできていないように見えるももこに苛立つようになります。こうして、生まれ育った環境の違いが2人の溝をどんどん深めていくのでした。
付き合っていた頃は気づかなくても、結婚してはじめて価値観のちがいがわかることってあるのでしょうね。そのあたりがリアルに描かれていて胸が痛くなりました。
第4章ネタバレ感想
つとむに家計のため働きに出るよう言われ、あれこれ探し始めたももこ。しかし2歳の子どもを抱えての職探しはなかなか厳しく、どうにもならない状況に追い込まれるのでした。
そんななか、ももこは友人からのアドバイスで「本当にやりたいこと」、つまり絵を描く仕事を再開することを決意します。しかし当然つとむは彼女の選択を否定するのでした……。
小さな子どもを育てながら働くことがいかに大変なのか、改めて突きつけられるようなエピソードでした。だからこそ友人の言葉はももこにとって大きな救いとなったでしょうね。
第5章ネタバレ感想
「イラストの仕事をする」という考えを否定され、ももこはさすがにうんざりしてしまいます。単なる思い付きではなく、いろいろ考えた結果の選択なのに……。
つとむの言い分は“ももこが夢を追えるのは生活の心配がないから”というものでしたが、もうここまで来るとただ妻に文句を言いたいだけのように思えてきますね。
この件がきっかけで口論になったふたりですが、そのようすを見ていると関係の修復は望めそうにもありません。結果としてつとむはももこに「勝手にしなよ!」という言葉をぶつけ、ももこは言われた通り勝手にすることにします。
第6章ネタバレ感想
イラストの仕事を再開したももこは、仕事と家事や育児の両立に悩まされることになります。とにかく時間が足らず、家事はやってもやっても追いつかないため、気付けば家の中は散らかり放題。なかなかうまく行かず、頭を悩ませていました。
さらにつとむはイラストの仕事を趣味扱いし、「専業主婦」であるももこが家事をこなせていないことを容赦なく責めます。モラハラぶりは相変わらず、というかどんどんひどくなっているようです。
追いつめられ、ひとりでぐるぐる悩むという負のループにはまってしまったももこですが……。
第7章ネタバレ感想
ももこはワーキングママとして頑張る友人から、家事代行サービスの利用をすすめられました。やはり持つべきものは友人、こうして現実的なアドバイスをしてくれる相手がいるというのはありがたいものです。
早速サービスを試してみたももこは、家事のストレスから解放され仕事に集中できるようになります。共働き家庭が多い今、使えるサービスはどんどん使っていくべきですよね。ももこの姿を見て改めてそう思いました。
しかしここでもつとむが“もったいない”といって反対。自分は一切手伝わないくせに一体何を言っているんだ……と呆れてしまいます。
第8章ネタバレ感想
ももこはついに年収201万円という目標を達成し、つとむの扶養を抜けることになります。今すぐには無理でも、これで彼から離れ自立する準備は整いつつありました。
しかしそんな矢先、つとむが通勤中に交通事故に!不幸中の幸いというべきか、命に別状はなかったものの、大怪我をしてしまいました。
仕事のストレスで追い詰められていたつとむは、これをきっかけに仕事を辞めたいと言い出します。ももこはそんな彼に、“辞めたいなら辞めてもいい”と返事をしました。
第9章ネタバレ感想
自宅療養をすることになったつとむは、ほぼ1日を寝たきりで過ごすなか、はじめて妻の日常を目の当たりにします。仕事だけでなく家事に育児……とにかく忙しそうなももこを見て、彼の心は少しずつ変わっていきます。
つとむは一切モラハラ発言をしなくなり、自発的に家事の手伝いをするまでになりました。しかしももこの心は冷え切っており、つとむの態度はご機嫌取りのようにしか見えません。たしかに今までの仕打ちを考えると、ももこが「何をいまさら」と思うのも無理ないですよね。
第10章ネタバレ感想
つとむが回復した頃、ももこは彼に対し離婚届を突きつけるとともに心の内をぶちまけます。“絶対に許せない”と怒りを見せる彼女を見て、ようやくつとむは自分のしてきたことのひどさに気付いたようです。
ここにきてようやく、夫婦は面と向かってちゃんとした話し合いをします。結果、ももこは息子のためという意味でも、離婚という手段をとらないことに決めました。
正直、ラストでは離婚するだろうと思っていたので、この展開には驚きです!いくらつとむが歩み寄る姿勢をみせたからといって、今後しばらくは油断できなさそう……。ももこ、ほんとうに許しちゃっていいんでしょうか。
第11章(結末)ネタバレ感想
つとむは怪我が回復してから、結局仕事を辞めるのではなく別の部署に移ることに。以前と比べるとそれほど忙しくはないので、彼のストレスも少なくなりました。
さらにつとむは家事を手伝うようになり、妻にも優しく接するなどの変化をみせます。ももこはそんな彼を心底信じることはできず、油断できないと考えつつも、今の生活はそれなりに気に入っていました。
つとむからこれまでの言動に対する謝罪がないのが気になるのですが、これで丸くおさまった……ということでいいのでしょうか?人によってはイマイチすっきりしないと思ってしまうかもしれませんね。
その後(最終回)ネタバレ感想
時は経ち、息子のたるとは幼稚園年中さんに。これからますますお金がかかる時期になり、ももこは無駄遣いしようとする夫を黙らせ貯蓄に励んでいました。
離婚の話がなくなってからも、ももこは仕事を続けよりいっそう収入を増やせるように頑張っています。相変わらず夫に苛立つことはありましたは、扶養を抜けてからはかなり心に余裕が持てるようになっていました。
これからもももことつとむ、たるとの3人の生活は続いていきます。つとむのモラハラぶりに散々イラついてきた身としては、これでほんとうにいいのかと思わなくもないですが……。とりあえず一安心な状況にはなってよかったです。
漫画『夫の扶養からぬけだしたい』の続編は?
本作の続編は『ママはパパがこわいの? 夫の扶養からぬけだしたい~ゆうかの場合~』というタイトルで発表されていて、電子書籍サービスでも配信中です。
続編では出産を機に専業主婦となったゆうかが主人公。育児にも協力的で頼りにはなるけど、どこか自分のことを見下している夫との暮らしに息苦しさを感じています。
そして夫の言葉を聞き続けたゆうかは、いつのまにか自信を喪失。このままでいいのだろうか、と強く悩むようになっていきます。
漫画『夫の扶養からぬけだしたい』の見どころ
共感が止まらない、女性の生き方の行方
結婚や出産を機に専業主婦やパート勤務になり、家事や育児を全て担当し、夫は家のことにはノータッチ。
そんなよく聞く家庭・夫婦のあり方や問題点をリアルに描き出しています。
育児をしていると家事に手が回らず、そのうえパートをするともっと手が回らない。それでも夫は理解してくれず、協力もしてくれない。
袋小路に陥っていくももこの心情や焦りが手に取るように伝わってくるため、ももこへの共感が止まらなくなってしまいます。
夫婦それぞれの立場を描く
必死で夫のために家事や育児を回そうと奮闘するももこ。そんなももこへ全く理解を示そうとせず、暴言を吐く夫・つとむ。
一見、つとむがとんでもないモラハラのダメ夫に見えてしまいます。
しかし、夫サイドの事情や心境も丁寧に描写することで、少しずつ夫に対する理解も深まる作品構造になっているのです。
両方の立場になって状況を俯瞰して見ることができるので、自分だったらこうするのに、という対策も考えられる作品です。